龍笛は雅楽の唐楽で演奏される横笛です。雅楽では篳篥が主旋律を担いますが、龍笛は主旋律をなぞりながら飾り、彩る役目といえます。その音色は、天と地の間を飛翔する龍の鳴き声にたとえられ、軽やかでダイナミックで迫力のある音色が魅力です。
普通の息で吹いた音と、強い息で吹いた1オクターブ上の音とが出て、音域が広い楽器のため、メロディーを吹くことができます。
陰陽師に出てくる安倍晴明が奏している楽器といえば分かりやすいかもしれません。
龍笛を構えた姿が凛として美しいことも魅力です。優美かつ力強い音で素敵な旋律を奏でてみませんか?
笹本 武志(ささもとたけし)
1966年、茨城県出身。琴古流尺八家元・竹韻社の家系に育ち、東京藝術大学音楽学部邦楽科尺八専攻卒業、同大学院音楽研究科修士課程修了。尺八を笹本宗秀、二世初見宗郷、山口五郎の各氏に、龍笛及び雅楽演奏を芝祐靖氏に師事。雅楽(古典)の演奏を主軸に、数百曲の現代音楽の初演を行っている。正倉院古楽器の排簫と雅楽尺八の製作と演奏を独学で学び、特に排簫はこれまで種々のタイプを製作し、製作・演奏の両面から研究を続け、楽器に負担を掛けずに音を響かせる「ボディボックス奏法」を開発し、復元楽器演奏のトッププレーヤーとして知られている。現在、龍笛・尺八・排簫のプロプレーヤーとして、国内及び欧米で演奏活動を行っており、2010年には、パリのオペラ座「輝夜姫」上演において、龍笛奏者として12公演を演奏した。
また、自作曲の楽譜やCD が多数出版され、1994年発売の「江戸小町」はその年の邦楽器CD のトップセールスを記録するなど、作曲家としても名を知られている。主な著書に「はじめての雅楽」(2003年、東京堂出版)、「図説雅楽入門事典」(2006年、柏書房・共著)がある。